量子コンピュータって何だろう?

量子コンピュータって言葉、聞いたことありますか?

実は従来のコンピュータとは全く異なる仕組みで、計算の高速処理を可能とし、あらゆる分野で期待されています。

今回はその仕組みと今後について解説していきます。

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【従来のコンピュータとの違い】

従来のコンピューター(古典コンピューター)は情報を「0か1」という2通りの状態で表す「ビット」を最小単位として扱っています。

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これに対し量子コンピューターは、量子力学の基本性質である「0と1の両方を重ね合わせた状態」をとる「量子ビット」を使って計算します。

「0と1の両方を重ね合わせた状態」ってのがよく分かりませんよね。そもそも量子力学って何...と思いますよね。

量子力学とは平たく言うと、「原子より小さな世界の物理法則」です。このミクロな世界とマクロな世界で物理法則があまりに異なるため、一般的な物理学(古典力学)とは別の学問が必要になりました。我々が普段生活している中では直感的には理解しがたい法則がいくつも明らかになっています。

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その量子力学基本法則に「重ね合わせの原理」と呼ばれるものがあります。

重ね合わせの原理に基づけば、「0と1」という2通り、の状態を同時に表すことができ、量子コンピュータではこれが用いられています。

直感的に理解しやすいように、コインで例えて説明します。

コインがn枚置いてあるとしましょう。それぞれのコインは表か裏のどちらかを向いており、その組み合わせは2のn乗通りですよね。

この組み合わせでコンピュータはデータを表現しています。これが従来の古典コンピュータの考え方です。

一方ですべてのコインが回転している状態を想像してみてください。すべてのコインは表を向いているとも、裏を向いているとも言えない状態ですよね。回転が終わってみないとどちらを向いているかわからない状態を取ります。これは一度にすべての状態を表しているとも言えます。これが量子コンピュータの考え方です。

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このように、量子コンピュータでは0と1を重ね合わせた複雑な状態を扱うことで並列処理が可能となり、0と1の二進数のどちらかしか扱えない古典コンピュータと比較して計算処理速度が早くなるのです。

【どのように応用されていくか?】

このように従来型のコンピュータでは答えの導出に膨大な時間を要する問題でも、量子コンピュータでは短い時間で解けるようになる可能性があるため、さまざまな分野での活用が期待されています。

材料開発や創薬の分野では、多様な分子の物性を量子コンピューターでシミュレーションすれば、現在のコンピューターで1年かかる計算も高瞬時に処理でき、ワクチンや治療薬を短期間で開発できるようになるでしょう。そのほか地球環境や交通状況のシミュレーションにも応用可能と考えられます。

またAIの劇的な発展を後押しするという話もあります。ディープラーニング(深層学習)に導入すれば、ニューラルネットワークの学習時間(正しい判断できるようになるまでの時間)を短縮しつつ、より正確な判断を可能にすることが期待できます。AIが高度化するだけで、人間のさまざまな仕事がAIに置き換わり、自動運転、ロボットなどの分野でも変化が生まれるはずです。

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【まとめ】

従来のコンピューター(古典コンピューター)は情報を「0か1」という2通りの状態で表すのに対し、量子コンピュータは「0と1」という2通りの状態を同時に表すことができる。この性質により、量子コンピュータでは並列処理が可能となり、古典コンピュータと比較して計算処理速度が早くなる。

従来型のコンピュータでは答えの導出に膨大な時間を要する問題でも、量子コンピュータでは短い時間で解けるようになると期待される。